サクラノコエ

そんな空気とは対照的に、軽やかに部屋のドアがノックされる。

「失礼しま~す!」 

バイトらしき兄ちゃんが、元気いっぱいに受付時に注文したドリンクを運んできたのだ。

しかし、威勢良く入ってきた店員も部屋に入った瞬間に、明らかに歌いに来たのではない
俺らの空気を察知したらしく

「オレンジジュースとコーラです……」

次第に声が小さくなっていく。

言葉を返すこともせず、動けなくなっている俺たちに、店員はさらに気まずそうに

「なにかあったら、インターホンでお知らせ下さい」

そう決まり文句を残し、逃げるように部屋を出ていった。