「あ、悠人おかえり。意外と……」

俺を出迎えた母さんの声は、ほとんど耳に入っていなかった。

想像もしていなかった状況を、頭の中で処理することが出来ない。

「あれ? あんた、大丈夫!? 顔真っ青だよ。熱でも……」

俺の混乱などお構いなしで無遠慮に額に当ててきた母さんの手を、俺は勢いよく振り払い

「うるせぇな! 放っとけよ!」

と、言い捨て部屋に閉じこもった。

部屋に入ると気が抜けたのか、強ばっていた体の力が一気に抜け、ドアにもたれ掛かりながら崩れるようにその場に座り込んだ。