サクラノコエ

母親の自転車が俺らの横を走り抜けていく。

その場に残された女の子は、泣きながらも置いていかれまいと「ママ、ママ」と叫びながら一生懸命に自転車を追いかけ走り出す。しかし、小さい体では自転車に追い付けるはずもない。

無駄だと分かっていても必死に追いかけるその姿は、とても意地らしく見ていて非常に切ない。

俺の服の裾を掴む理紗の手に、グッと力が入るのが分かった。理紗も手を出して上げていいものか、きっと迷っているのだろう。

俺は軽く理紗を振り返り小さく

「大丈夫だよ」

と、口にした。