サクラノコエ

店員が置いていったメニューを手に取り

「はい。好きなもん選びな」

そう言いながら、それを適当に開いて理紗の方に向ける。

すると理紗は「うん」と嬉しそうに笑いメニューに目線を落としたが、段々と笑顔が消え不安げな表情に変わった。

「どした?」

様子がおかしいのでそう声を掛けると、理紗は珍しく無理矢理っぽい笑顔を作って

「悠人くんの好きなものが食べたいな」

と、言う。遠慮をしているという感じでもないけれど、一応

「俺はいいから、お前の好きなもの頼めって」

と再び勧めると、俺の言葉に理紗は恥ずかしそうな、困ったような顔で

「そうじゃなくて……メニューの意味が分からないの」

と返してきた。

「え?」

理紗の言葉の意味がわからず、メニューを覗き込んでみる。