サクラノコエ

「じゃあ、ここにするか」

「うん!」

店に入ると、まだ微妙に時間が早いのか、それほど客も入っておらず、静かな雰囲気だった。

「いらっしゃいませ。2名様ですね? あちらのお席へどうぞ」

笑顔で出てきた店員は奥のブース席をすすめてくれたが

「こっちでもいいですか?」

俺は、広々とオープンな雰囲気な店の中で、あえてレジ横の壁際の席を選んだ。そのスペースにある2テーブルだけ、レジカウンターと客席を仕切る壁によって少し落ち着いた空間になっていたからだ。

「あ、はい。どうぞ」

「すいません」

理紗に奥側の席を勧め、お互い席に着く。

レストランのテーブルを挟んで理紗と向かい合わせで座るなんて、なんだかとても新鮮だ。

「なんか、変な感じだな」

「うん」

どうやら理紗も同じように感じているらしい。