「悠人、早くご飯食べなさい。バイト遅れるよ」

母さんは昨夜の一件に気付かなかったのか、特に変わった様子はない。

「全然余裕だし」

言いながら席に着くと、いつものように有無を言わさず山盛りのご飯とみそ汁が俺の前に置かれた。

「いただきます」

焼き魚。卵焼き。野菜の煮物。

あまり代わり映えしない朝飯。

「たまにはパン買ってきてよ。駅前のパン屋のやつ」

「はいはい」

母さんは軽い返事をしながら、俺の分と自分の分のお茶を運び俺の席の斜め前の自分の席に「よいしょ」と、おばさん丸出しで腰を下ろす。