サクラノコエ

「ちょっと早いけど、飯食うか。お前なに食べたい?」

壁に掛かったフロアマップを眺めながら、理紗に尋ねてみる。

すると理紗は

「わぁ~。いっぱいあるんだね~! グルッと見てもいい?」

と、ウキウキした口調で言った。

「いいよ」

「じゃあ、奥から!」

張り切って俺の手を引いて歩き始める理紗。本当に子供みたいだ。

「悠人くんはなにが食べたい?」

「今日はおにぎりのお礼なんだから、お前が食べたいもんでいいぞ」

「いいの!?」

いい意味で遠慮のない素直な言葉をかわいらしく思い、笑いながら頷くと、理紗は食品サンプルが並ぶショーウインドウを、目を輝かせて一つ一つじっくり眺め始める。