サクラノコエ

「どした?」

理紗の様子がおかしくなってしまい、心配になって顔を覗き込むと、理紗は目を潤ませ

「どうしよう……泣きそう」

と、ポツリと言った。

大げさだと笑い飛ばそうと思ったが、出来なかった。理紗が本気で泣きそうな顔をしていたからだ。

「ばぁ~か」

俺は優しくそう言うと、理紗の肩を抱いて、人気(ひとけ)もそれほどないエレベーターホールの奥にある階段スペースまで移動した。

「大丈夫か?」

理紗は少し混乱しているように見える。

「ごめんなさい。私こういうことしてもらうの、初めてだったから」

過去、理紗になにがあったんだろう。

人なつっこいクセに、愛情を受けることに対しての免疫があまりないような気がする。