サクラノコエ

「なぁ、お前今日、何時まで大丈夫?」

「あ、えっと。あまり遅くまでは」

「そっか……」

本当は渋谷とか、せいぜい二子玉ぐらいに出ようと思っていたが、あまり遅くなれないのなら移動時間がもったいない。幸いこの駅前にもデパートがある。とりあえず今日は軽くブラついて、晩飯を食う程度にしておくか。

予定変更。

「じゃあ、行くか」

駅前に向かって歩き出そうとして、俺は足を止め

「はい」

と言いながら、理紗の前に右手を差し出した。

「え?」

「お前、せっかくかわいい格好してるから、今日は「女」として扱ってやるよ」

なぁ~にが「女扱いしてやる」だ、上から目線もいいところじゃないか。

ただ手がつなぎたいだけなのに。どこまで素直じゃないんだ、俺は。