サクラノコエ

「あ、お前、今「松永さん」って言ったろ! もう一つの約束は?」

すっかり挙動不審になってしまった自分をごまかそうと、急に話題を変えてみる。

「あ、そっか」

『もう一つの約束』とは、今朝やりとりしたメールの中での物だ。

朝、仕事に出掛ける支度をしているときに、理紗から先に寝てしまったことを詫びるメールが入ってきた。

それに託けて俺は

『じゃあ、罰として今日は俺のこと名前で呼ぶこと』

と、理紗に振った。