サクラノコエ

「松永さ…ん?」

「……理紗」

「え……?」

理紗を抱き締め、髪を撫でながら、心の中に溢れた理紗の名がポロリとこぼれ落ちる。

理紗を名前で呼ぶのは、初めてだったかもしれない。

「元気……だったか?」

「う、うん」

「そっか」

理紗……

理紗が俺の腕の中にいる。「元気な理紗」が……

「どうしたの? 松永さん」

言いながら俺の胸元を軽く押し返し、距離を取ろうとする理紗を、俺は更に強く抱き締めた。

離したくなかった。

理紗の存在を、もう少し体で感じていたかった。