サクラノコエ

「あいつ、どこか悪いのか?」

「いや、詳しくは」

「そっか……」

「すいません。なんか変なこと言って」

「いや。ありがと。田端、色々聞いといて悪いけど、俺ちょっと便所行ってくるわ」

「あ、はい。お疲れさまです」

落ち着いた口調でなんとか話を続けながらも、頭の中が激しく混乱してうまく機能しない。

俺は出来るだけ顔色を変えないようにロッカーに置かれたケータイを手に取ると、少し震える声で田端に挨拶をしてクルールームを出てスーパーの裏手にあるうちの店の倉庫へと足を向かわせた。

平静を装うのは、もう限界だった。

倉庫付近なら、ほとんど人影はないはずだ。

とりあえず一人になりたかった。