サクラノコエ

いや。

むしろ、初対面とは思えないなれなれしい田端の態度が、二人が元々の知り合いであると言っているようにも思える。

ところが、その一方の理紗はと言えば、そんな田端に対して顔色一つ変えることもなく接していた。

その二つを合わせて散々考えた挙げ句、結局たどり着いたのは──

理紗は田端に『俺の彼女だと思われたくなかった』『思われたら困る』と思ったのではないのだろうか。

∴(ゆえに)田端は理紗の『元カレ』または『好きな人』なのではないか。と。

話が飛躍しすぎているのは分かっているのだけれど、一度そう思ってしまうと、どう考え直してもそれが正解であるような気になった。

理紗とはあれ以来、メールはしているが会っていない。俺が空いている時間、教習所に通うようになったからだ。

メールで理紗に田端のことを聞くのはうまくはぐらかされそうで嫌だし、聞くなら顔を見て直接聞こうと思っているが、日増しにモヤモヤが大きくなって、どうも次に会うときまでじっとガマンできそうにない。