サクラノコエ

「ま、松永さん、離し……て」

混乱しまくる俺の腕の中から蚊の鳴くような小さい声が聞こえ、ハッと我に返る。

「え?」

「ドキドキしすぎて、息、できない」

「あ、ごめん」

理紗の言葉でようやく思考回路が正常に作動し始める。

慌てて理紗から離れると、俺から解放された理紗は真っ赤な顔をして、気持ちを落ち着かせるように自分の胸元を軽く何度も叩いている。見るからにイッパイイッパイの状態だ。

「おい! 大丈夫か!? ほら、深呼吸しろ! 深呼吸!」

理紗にそう促しながらも、自分も気持ちを落ち着けるため、理紗に付き合うフリをして一緒に深呼吸をしてみる。

「ご、ごめんなさい。こんなこと、初めてだったから、ビックリして」

「いや、いいけどさ」

離れてホッとしたのは俺も同じ。