「つーかさ、何で朽木なんだよ」


取りあえず変な方向に話がいかないように、率直に簡潔に質問をする。
擁一郎は普段馬鹿やってる割には頭が良いから(そういうとこは嫌いなんだよな)。


「とぼけんでええで!昨日朽木君の家におる彰を見たってやつがおるんやから!」


あっははは!と自信満々に笑いながら椅子から立ち上がり、擁一郎は俺に近づいてくる。


「ま、別に俺は性別とか気にせん人間やから、せいぜい頑張りや!」


ぽん、と肩を叩きながらそう言う擁一郎は、今までで一番と言って良いほどの良い笑顔だった。

まぁ確かに可愛いなとか思ったけど、別に恋とか好きとかそういうんじゃねぇし、
と一人頭の中で悶々と考えていると、背後の扉ががちゃりと音をたてながら開いた。





.