俺が朽木と爽司の会話を黙って聞いていると、休み時間でざわついていた教室が一気に静まり返った。

何事かと思って、クラスのやつらが見ている方向に目をやると、そこには泉士先輩が立っていた。

まぁ先輩、美人だし人気あるし、みんな気になるか。


「桜?どうしたの?」


俺が聞くより先に朽木が口を開く。
すると先輩は、整った顔に不安を浮かべた。


「ちょっと彰に用があってね」

「俺に?」


思いも寄らない言葉に俺は疑問符を浮かべる。
わざわざ先輩がくるのだ。何かあったのだろう。


「どうしたんすか?」

「あー…うん、擁一郎がさ、ここ二、三日学校に来てないのよ」

「擁一郎が?」


またもや思いも寄らない返答をうけ、俺は思わず聞き返す。
先輩は話を続けた。


「私の考えすぎかもしれないんだけど、連絡もとれないし…
もしかしたら失踪事件と関係あるのかなって」





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