「おれね、中1のとき、レイプされたことがあるんです」


…レイプ?
テレビやネットや漫画でしか聞いたことがない言葉に戸惑ってしまう。


「ふふ、引きました?良いですけど、」


嘲笑を浮かべる朽木に、何だか悲しくなる。
それでも朽木は淡々と話続けた。


「中1のとき、塾の帰り道だったんです。確か9時頃だったかな?
不審者が出るって言うのは聞いてたけど、おれ男だし、友達が2人くらい一緒にいたから、完全に油断してたんです」


そこまで言って朽木の口が止まる。
この先が問題か、と思いながら朽木が再び口を開くのを待つ。

すると朽木は再び重たい口を開いた。


「近道をしようと公園に入ったとき、真っ暗な建物の陰から男が二人出てきたんです。
一瞬のことだったんですけど、一人はおれの口と手を抑えて、もう一人はおれの手足を縛りました。
友人二人はどこかに逃げたんです。
それから、なんかどうでもよくなっちゃって…」


淡々と告げられる事実に、俺はただただ驚くことしかできなかった。
朽木はまだ話続ける。





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