「ね、ここじゃ人多いし、近くのファミレス行こうよ」


にこにこと笑いながら言う爽司の言葉に、とくに断る理由もないので了承をした。



***



ファミレスに着くと、早速爽司は俺の分までドリンクバーを注文し、足早に飲み物を取りに行った。
こういう行動力は、生徒会長として尊敬する。うん。

そして嬉々とした様子で俺の向かいの席についた爽司は、口を開いた。


「アッキーってさ、朽木くんに会ったんだよね?」


唐突な切り出しから始まった会話に、少し驚いた。
なんか、広まってないか?


「あぁ、会ったけど?」


冷静なフリをしながら答えると、爽司はやけに楽しそうな顔をしながら、ふぅんと呟いた。


「じゃあさ、朽木くんが二重人格ってのも知ってんの?」


悪人のような笑顔で言われた言葉に戸惑う。
二重人格?もしかして、今朝のか?


「あは、その顔、知ってんだね?」


爽司は意味深に笑う。
まるで、朽木をよく知っているかのように。


「ねぇアッキー、朽木くんのこと、色々教えてあげよっか?」


コップに入った氷がカランと鳴る。
俺の頭の中は、興味と不安が渦巻いていた。





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