「いいことじゃないわよ、まったく…ごめんね、彰」


先輩は朽木に対してため息をついてから、俺に謝罪してきた。
眉を八の字にしながら謝る先輩に、俺は「いえ、全然」と言う。

そんな俺達の様子を見ても、朽木は悪びれる様子もなく、俺に擦り寄ってきた。

うわぁぁぁ可愛い!キャラ全然違うけど、んなこと関係ねぇよ!可愛い!
そんなことを考えながら、俺は思考が停止してしまった。


「ごめん桜、でも俺会長さん気に入っちゃったし」


俺の胸に顔を擦り寄せながら、朽木はそう言った。
は?え?まじで?

完全に思考停止した俺を見兼ねた泉士先輩が、朽木の髪をくしゃりと撫で、「分かったから、ちょっとこっち来な」と朽木を立たせる。


「彰、後で話があるから」


先輩はそう言い残し、朽木を連れ生徒会室を後にした。

俺の腕と胸には朽木の温もりが残っている。
心臓の高鳴りはまだおさまらない。


要するに、これが恋なのだ。





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