ばたーん!という豪快な音をたてながら開いた扉に、俺も朽木もびくりと肩を震わせた。

誰だよ、こんなときに…!?


「雛春!ここにいるの!?」


高い声が室内に響く。
この声は…


「桜、?」


朽木は目を丸くしながら呟いた。
その声が聞こえた様で、泉士先輩は俺達のいる机まで足を運ぶ。
一度辺りを見渡してから、先輩は机を覗き込んだ。


「雛春、何してんの…?」


俺達の体制を見て、先輩は目を丸くした。
まぁ不良が不登校に押し倒されてんだから、無理ないけど。


「何って、いいこと」


けろりと言ってのけた朽木に、俺も先輩も驚く。

朽木はというと、抜き取ったネクタイを緩く首に巻き、ズボンの裾を折り、どこから出したのか分からない黒い小さなピンで、長い前髪を留めていた。

その格好だけ見ると、朽木は全く不登校に見えない。
というかちょっと悪そうに見える。


どういうことだ?

さきほどまでの朽木とは、まるで別人のようだった。





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