するりと俺の首に回した手を解き、泉士先輩は朽木の元へ歩み寄った。
そして朽木の耳元へ口を寄せる。
それはまるで可愛い女同士みたいで、目の保養にもなり得た。
やっぱり二人とも黙ってりゃただの美少女みたいで、思わず見入ってしまった。
「何言ってんの雛春。あいつは私のものでしょ?」
先輩はにやりと笑う。
元ヤンの風格を見せながら笑う先輩に、少しだけ寒気がした。
あぁ、せっかくの美形が台なしだ。
けれど朽木はそうではないようで、にこりと笑いながら先輩の耳元に口を寄せた。
「ふふ、気付いてもらえてないくせに」
二人とも意地の悪そうな顔で笑っている。
この二人、本当は仲が悪いのかも知れない。
だってなんか二人の間に黒いオーラが見えるし。
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