「笹田くん?」


少しだけ首をかしげる朽木に、さらに胸が高鳴る。
どうやら自分はただの変態のようだ。
というか、やはりこれは恋なのだろうか。


「あぁいや、何でもない。あの時は俺もどうかしてたし。悪い」


無理矢理ごまかしながら返事をすると、俺が謝ったのが珍しかったのか、泉士先輩と擁一郎が肩に腕を回して話し掛けてきた。


「おわぁ!彰が謝るなんて珍しいなぁ!俺なんか感動したわ!」

「あっはは!彰可愛ーい!」

「う、るせ!ほっとけっつの!」


茶化すように笑う二人の腕をすり抜けようともがいていると、前からくすくすと笑う声がする。


「あ、ごめんなさい。ふふ、仲良いんですね」

「べ、別に、仲良くは、」


あまりにも綺麗に笑うもんだから、つい硬直してしまう。
きっと顔が赤くなっているだろう。


「ふふ、良いなぁ。おれも会いたくなっちゃった」


にこにこと笑いながら言う朽木の言葉で、再び硬直した。
俺が誰に?と聞く前に、擁一郎が「誰になん?男?」と冗談交じりに聞く。
すると朽木はふわりと笑いながら答えた。


「はい!そうですよ!」


あぁ、終わったな、俺。
そう落胆していると、不意に泉士先輩が俺の首に回した手を離した。





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