それは退院して高校二年生になった今も変わらない
いつもどこかにあの子の面影を探してる
あの子の歌声を探してる

そんな時聞こえたんだ
少し大人びた
でも変わらない
切ない僕の胸を締め付ける歌声が

曲はあの子が好きだって言った
最後に聞いた歌

背が伸びて髪も伸びていた
ただあの時と同じ薄ピンクのワンピース
包帯は取れていたけど変わらない白い肌

そこにいたのはあの時と比べて大人になって綺麗になったあの子

周りが白黒にあの子だけが色づいた世界にいるような気がした
僕の視線はあの子だけに集中した

歌い終わり拍手を浴びる彼女は僕に気づいて近寄って来る

「ねぇあなたはあの時の透明人間さん?」

やっぱり誰にも負けない綺麗な声
僕は知らず知らず涙を零した

「当たってる…?」

そう聞く彼女にコクリと頷く
彼女はパァッと笑う
あぁ…こんな風に笑うんだ