「あっ、婆ちゃん? おれだよ、睦也だよ」
翌朝目覚めると、さっそく電話をかけさせられた。
「あぁ、睦也かい。誰かと思ったよ。元気にしてるかい?」
久々に聞いたその声は、以前と何一つ変わらず、睦也は胸を撫で下ろした。
「どうにかね。急なんだけど、正月に遊びに行ってもいいかな?」
「もちろんだよ。遠慮することでもないだろ」
「元日はみんな集まるの?」
「そういう話になってるけどね」
元日は、親戚中が祖母の家に集まることが、昔からの行事だった。睦也がいなくなった今も、それは続けられているのだ。
「じゃ、おれたちは二日に行くよ。大丈夫?」
「大丈夫だけど、あんたたち親子は、まだ冷戦中かい?」
「ベルリンの壁は、今も立ちはだかってるよ」
「まったく仕方ないね。ところで、おれたち、っていうと、他に誰かいるんかい?」
鋭い指摘に、睦也は面食らうと同時に、まだまだ健康でいてくれていることに、安堵した。
実は……、そう言って優の方をチラッと覗き見てから、続けた。
翌朝目覚めると、さっそく電話をかけさせられた。
「あぁ、睦也かい。誰かと思ったよ。元気にしてるかい?」
久々に聞いたその声は、以前と何一つ変わらず、睦也は胸を撫で下ろした。
「どうにかね。急なんだけど、正月に遊びに行ってもいいかな?」
「もちろんだよ。遠慮することでもないだろ」
「元日はみんな集まるの?」
「そういう話になってるけどね」
元日は、親戚中が祖母の家に集まることが、昔からの行事だった。睦也がいなくなった今も、それは続けられているのだ。
「じゃ、おれたちは二日に行くよ。大丈夫?」
「大丈夫だけど、あんたたち親子は、まだ冷戦中かい?」
「ベルリンの壁は、今も立ちはだかってるよ」
「まったく仕方ないね。ところで、おれたち、っていうと、他に誰かいるんかい?」
鋭い指摘に、睦也は面食らうと同時に、まだまだ健康でいてくれていることに、安堵した。
実は……、そう言って優の方をチラッと覗き見てから、続けた。


