きらめくスポットライトを浴びながら、睦也はいつものように客席を左から右に眺めていった。だが、いつもはすぐに見つかるはずの姿が、その日は見つからなかった。もう一度、今度は注意深く眺め、やっとその姿を見つけることが出来た。
 いつも睦也へと向けられていた真っ直ぐな視線は、どこか遠くに向けられ、心ここに有らず、といった表情をしていた。すぐに見つけることが出来なかったのは、そのせいか? そうじゃない。優はその輝きさえも、失ってしまった。それはあの晩、夢と共に置いてきてしまったのかもしれない。
 これ以上の詮索はミスを生みかねない、そう思った睦也は、視線を逸らし、秀樹の叩くドラムに耳を集中させた。