睦也がいなくなってしまえば、誰一人頼れる人がいなくなってしまう。十年前に逆戻りしてしまう。だからこそ、夢を捨ててでも、睦也に許しを乞うているのだ。睦也には賢介がいる、太輝がいる、秀樹がいる、Locusがある。だが優には、睦也しかいない。それを知ったとき、無償の愛を注ぐことを誓った。そしてそれは、昨日までは確かに存在した。この胸の中に、この部屋の中に。だが、今はどこにも存在しない。
あの気持ちを真空パックし、保存出来てさえいれば、封を開け、この心に、部屋中に、ばら撒けたのに……。
あの気持ちを真空パックし、保存出来てさえいれば、封を開け、この心に、部屋中に、ばら撒けたのに……。


