「泣けばいいのかよ。泣けば全て許されるとでも思ってんのかよ」
 ごめん、なさい……、嗚咽交じりの声。
「……今はまともな話は出来そうにない。もう寝かせてくれ」
 床に散らかった空き缶や空き瓶をどかし、布団の用意をした。
「騙すつもりは、なかったの。あのときは、ただ、必死で……」
 その声を無視して、布団の中に身を潜らせた。冷たくひんやりとしたその中で、膝を抱えていたが、震えは治まらず、眠りは訪れなかった。
「私、諦めるから。それで睦也が、許してくれるなら、もう、夢を追ったりしないから。だから、許して」