「私を、もう、一人にしないで。……私には、睦也しか、いないんだから」
擦れ声は、涙声に変わっていた。
泣きたいのはどっちだ? こんなことになった責任は誰にある? それは明白だ。ならなぜ、おれがせめられなくてはならない?
怒りは声帯を通し、空に放たれた。
「だったら何で裏切るようなことをしたんだよ!」
その声の大きさに、睦也自身が驚いた。この体に、これ程の声を出せる力が残っていたことに。そして一度解放された力は、睦也の意思を通りこし、暴走した。
「アイドルのオーディションを受けるなんて一言も言わなかったじゃねぇか。何で言わなかったんだよ? 後ろめたいからだろ。審査結果だって言わなかっただろ。おれが何も知らなければ黙ってそのままオーディションを続けるつもりだったんだろ。人をだましてこそこそと、バカにするのもいい加減にしろよ!」
言葉は刃となり、標的へと真っ直ぐに飛んでいった。そして心を、これでもかと切り刻んできた。啜り泣く声は、嗚咽へと変わっていた。それでも睦也の中の怒りは、納まりそうもなかった。
擦れ声は、涙声に変わっていた。
泣きたいのはどっちだ? こんなことになった責任は誰にある? それは明白だ。ならなぜ、おれがせめられなくてはならない?
怒りは声帯を通し、空に放たれた。
「だったら何で裏切るようなことをしたんだよ!」
その声の大きさに、睦也自身が驚いた。この体に、これ程の声を出せる力が残っていたことに。そして一度解放された力は、睦也の意思を通りこし、暴走した。
「アイドルのオーディションを受けるなんて一言も言わなかったじゃねぇか。何で言わなかったんだよ? 後ろめたいからだろ。審査結果だって言わなかっただろ。おれが何も知らなければ黙ってそのままオーディションを続けるつもりだったんだろ。人をだましてこそこそと、バカにするのもいい加減にしろよ!」
言葉は刃となり、標的へと真っ直ぐに飛んでいった。そして心を、これでもかと切り刻んできた。啜り泣く声は、嗚咽へと変わっていた。それでも睦也の中の怒りは、納まりそうもなかった。


