……どこ行ってたの、スーパーの袋を隅にずらしたとき、どこからか消え入りそうな声が聞こえてきた。空耳だろうか? 幻聴が聞こえるとは、体調は想像していた以上らしい。
「どこ、行ってたの」
次ははっきりと聞こえた。まさか……、頭の中から除外していた事態に、思わず体が硬直した。
「どれだけ、心配したと、思ってるの」
その擦れた声から、昨夜から今に至るまでの、優の様子が窺えた。
「仕事じゃ、なかったのかよ」
睦也はやっとの思いで声を発した。その声は、擦れた優のそれよりも、弱々しく響いた。
「行ける訳、ないじゃない」
暗闇に慣れ始めた目に、膝を抱え壁に寄りかかり、壊れた人形のように首だけがこちらを向いている優の姿が映った。睦也は思わず、視線を逸らしていた。
「どこ、行ってたのよ。何度、携帯に連絡しても、繋がらないし」
バーは確か圏外だった。そしてマンガ喫茶に行った頃には、充電が切れていたのかもしれない。
「マンガ喫茶に泊ったんだよ。風邪引いたみたいなんだ、今は寝かせてくれ」
睦也はそう口にして、体調が悪かったことを思い出した。堅く強張った筋肉を無理やり動かし、部屋の奥へと進んだ。
「どこ、行ってたの」
次ははっきりと聞こえた。まさか……、頭の中から除外していた事態に、思わず体が硬直した。
「どれだけ、心配したと、思ってるの」
その擦れた声から、昨夜から今に至るまでの、優の様子が窺えた。
「仕事じゃ、なかったのかよ」
睦也はやっとの思いで声を発した。その声は、擦れた優のそれよりも、弱々しく響いた。
「行ける訳、ないじゃない」
暗闇に慣れ始めた目に、膝を抱え壁に寄りかかり、壊れた人形のように首だけがこちらを向いている優の姿が映った。睦也は思わず、視線を逸らしていた。
「どこ、行ってたのよ。何度、携帯に連絡しても、繋がらないし」
バーは確か圏外だった。そしてマンガ喫茶に行った頃には、充電が切れていたのかもしれない。
「マンガ喫茶に泊ったんだよ。風邪引いたみたいなんだ、今は寝かせてくれ」
睦也はそう口にして、体調が悪かったことを思い出した。堅く強張った筋肉を無理やり動かし、部屋の奥へと進んだ。


