「……私だって、夢があるの。ステージの上で輝く睦也の姿を見る度に羨ましかった。私も早く輝ける場所に行きたかった。それのどこが悪いのよ。夢を追ってるのは睦也だけじゃないのよ!」
 悲痛な叫びが、神経を逆なでした。
「だからって見境なしかよ。人前で肌を晒してそれがお前の夢かよ。いつからお前の夢は女優からアイドルになったんだよ!」
 睦也の怒声と共に、グラスの砕ける甲高い音が響いた。手にしていたグラスを、壁に向けて投げ付けていたのだ。床の上で粉々になった破片が、キラキラと輝いていた。
 怯えた瞳が、声にならない叫びを上げる口元が、余計に腹立った。ふざけんなよ、そう呟くと、着の身着のまま飛び出した。