二時間の練習を終え、場所を近くのファミレスに移した四人は、食事を終えた後もドリンクバーで粘っていた。
「なぁ、提案なんだけどさ、久しぶりにデモテープを送らないか?」
 睦也がホットコーヒーを持って席に戻ると、賢介が切り出した。
「送るって言っても、肝心のデモテープがないだろ」
 太輝が最もな意見を口にした。これからレコーディングでもするのだろうか。
「それなら心配ないんだ。最近の練習を、毎回これに取っておいたから」
 そう言って一枚のMDを取り出した。
「でも練習の音じゃ、音質が悪いんじゃないですか?」
「確かに秀樹の言うとおり、音質は決してよくない。でも、聞けない程悪くもない。それに勢いがあるっていうか……、とにかく悪くないんだよ。みんなの分も用意してきたから、一度聞いてみてくれないか」
 そう言ってそれぞれの前にMDを配り始めた。