ダメだ、三半規管がいかれてきた。上下左右が分からない。闇という四次元に飲み込まれていく……。
 そのとき、背後から声が聞こえた。
「ここで諦めたら、今までと何も変わらないぞ」
 それは紛れもなく、睦也自信の声だった。
 分かったよ、もう少し、後一歩だけ、進んでみるよ。
 睦也は振り返り、その声に答えた。
 すると、一つの光が飛び込んできた。そしてその一点のみが、眩しい程に輝いていた。その光に照らし出されていたのは、ヒロポンが現れてからの日々だった。