訪れた静寂の中、浮かんできたのは優の顔だった。
 優はどんな答えをだしたのだろう? どんな答えを出していたとしても、もはやどうすることも出来ない。むしろ、知らない方がいいのかもしれない。考えるな、そんなことを考えていると、またあの闇に飲み込まれてしまう。
 分かっていながらも、思考回路はその一点に吸い込まれていった。
 何でおれはこんな思いをしながらも、昼間は毅然と振舞っているんだ? なぜいつもと変わらず練習をしているんだ?  何のために? 誰のために? 答えは分かっている。人前で僕は辛いんです、そんな顔は出来ない。同情されたい訳ではない。練習はやらなくてはならない。三人に、ヒロポンさんに迷惑は掛けられない。
 分かっていても、それは偽り続けた心を更に偽るようで、自らの首を絞めるだけだった。