睦也はその一つひとつに傷付いてきた。だがその傷を直視することもなく、目を背けてきた。なぜだ? きっと、悲しみに立ち向かえるだけの強さがなかったからだ。そして忙しさにかまけて、いつの間にか忘れてきた。……いや、逃げてきたのだ。
だが、心にはその傷跡が、癒えきらぬ傷が、シッカリと刻み込まれていた。そして今、涙は睦也の心に降り注ぎ、硫酸のように全ての傷を溶かしていた。出来たばかりの傷を深く抉り、生傷を守る瘡蓋を溶かし、桃色のケロイドとなった傷跡を赤く染め、血を噴き出させる。
今、睦也が直視しているココロは、真っ赤に染まっていた。
だが、心にはその傷跡が、癒えきらぬ傷が、シッカリと刻み込まれていた。そして今、涙は睦也の心に降り注ぎ、硫酸のように全ての傷を溶かしていた。出来たばかりの傷を深く抉り、生傷を守る瘡蓋を溶かし、桃色のケロイドとなった傷跡を赤く染め、血を噴き出させる。
今、睦也が直視しているココロは、真っ赤に染まっていた。


