お盆に顔を見せに来ればよかった。暮れなずむ車窓からの風景を眺めながら、深く悔いていた。
「これが、最後だから」
 そう言って手渡された一万円札を思い出す。本当に最後になってしまった。祖母はあのとき、最後だと分かっていたのかも知れない。いや、察していたのかも知れない。
 もっといろいろな話をしたかった。何一つ孝行してやれなかった。ブラウン管の中で輝く姿を見せてあげることが出来なかった。優を大切にすることが出来なかった。最後の約束すらも、……守れなかった。
「そんなに早く、じいちゃんのとこに行きたかったのかよ。それとも、本当にこんな出来の悪い孫のために……」
 窓に映る自分に問いていた。するとそのとき、前触れもなく携帯が震えた。