周りの話によると、祖母は昨日までいつもと変わらぬ様子で過ごしていた。だが今朝、隣の住人が回覧板を届けに来ると、いくら呼び鈴を鳴らしても出てこなかったので、不審に思った。躊躇いなららも扉を開けてみると、鍵もかかってなかったので異変に気付いた。そして恐る恐る家に足を踏み入れたとこ、台所で倒れている祖母を見つけたとのことだ。そのとき既に、息はなかった。
 医師の見解によると、祖母は苦しむ間もなく天に召されたとのことだ。苦しいと思った次の瞬間には意識を失い、そのまま旅立った。本人は死を自覚する間もなかったとのことだ。それが幸か不幸か、睦也には分からなかった。死は誰にでも待ち受けている。先の分からない人生を送っていても、唯一確かなことは、そこに死が待っていることだ。だが、それは何年、何十年、もしかしたら何百年後かに待ち受けていることのようで、実感はない。それなのに、その瞬間、人生を振り返りながら逝くのか、一瞬の内に逝くのか、どちらがいいかなんて分かるはずもなかった。