「遅い」
 店内に入るなり、四人にかけられた言葉はそれだった。
なぜ里美ちゃんに真弓ちゃん、それに奈々ちゃんまでいるんだ? 
 混乱する睦也を尻目に、注文もしていない生ビールのジョッキがそれぞれに配られた。そして何の前触れもなく、高らかと声が上がった。
「睦也、誕生日おめでとう」
 ……そういうことか。
 睦也は明日で、二十四歳になるのだ。
「ほらボーってしてないで、主役から何か一言」
 急に振られ、しどろもどろになりながらも口を開いた。
「えっと、今日はおれのために、みんな集まってくれて、ありがとうございます。えっと……」
「こっちは喉からからなんだよ。はいみんな、乾杯」
 太輝が勝手に音頭を取る。ジョッキとジョッキのぶつかる音が、笑い声と重なる。睦也はその場の雰囲気に酔い、一息でジョッキの半分を飲み干した。こんなに美味いビールは、久々だった。