「さぁ、聞かせてもらおうか」
 練習を終えた四人は、その足で近くの居酒屋に向かった。酒が少量でも入らなければ、とても全てを話す気にはなれなかった。睦也はビールのジョッキを傾けながら、賢介に話した内容と、メールが来た件に関して話した。
全てを話し終えた睦也の前には、三つの空になったジョッキが並んでいた。
「で、返事は何て送ったの?」
 三人の視線を浴びた睦也は、少し俯きながら答えた。
「それ以上は、送らなかった」
「何でだよ。お前は本当にこのまま終わりでいいのかよ? 優ちゃんも睦也も、お互い思い合ってんだろ」
 太輝は攻めるような口調で問い正してきた。
「そうかもしれない。でも、それだけじゃどうにもならないことがあるんだよ」
 なおも食ってかかろうとする太輝を制したのは、賢介だった。
「一番悩んだのは睦也だろ? その睦也が考えた末に出した答えなら、おれたちはそれを見守ってやろう」
 賢介のフォローに対して、太輝は何か言いたそうだったが、ジョッキのビールと共にそれを飲み込んでいた。