「確かにリスクもありますけど、おれはやってみたいです。ライバルのバンドがおれたちより上なら、これくらいの賭けをしないと勝てないと思います。それにこの曲なら、賭ける価値もあると思います」
「太輝の言い分も確かだ。でも、おれも秀樹と同じ意見だ」
 三人の視線が太輝に向かう。
「……分かったよ。お前らの賭けに乗ってやるよ。本当にどいつもこいつも、無茶苦茶な奴らばかりだ。ほら、何ぼさっと突っ立ってんだ。速くアレンジ始めるぞ。本番まで二週間しかないんだぞ、さっさとしやがれ」
 太輝の切り返しの早さに感謝した。そして、無謀とも言える賭けに賛成してくれた、二人にも。