「今日はみんなに新曲を聴いてもらいたいんだ」
 そう切り出したのは、スタジオの練習ブースに入った直後だった。
「賢介、アコギを貸してくれ。練習を始める前に、聴いてもらいたいんだ」
 三人はアンプやミキサーを調節していた指を止め、睦也に視線を集めた。それを確認すると、歌詞の出来ているところは歌詞入りで、そうでないとこはハミングで歌い出した。
「バラードか、いいじゃん。メロは綺麗だし、おれは好きだな」
 太輝のコメントに二人も頷いた。その反応に、睦也は一先ず胸を撫で下ろした。
「曲名は、何て言うんですか?」
 秀樹の質問に、一つ間を置いて答えた。