『ヒロポンさんが現れたとき、私は恐かった。デビューの話を聞いたときもそう。睦也が遠くに行っちゃうようで、恐かった。きっとあのまま一緒にいたら、私は睦也の足を引っ張っちゃったと思う。だから、出て行ったの。私ね、一人になって分かったの。本当は悔しかったんだって。睦也が夢に近づいて行くのを見ていると、自分のことのように嬉しかった。でも、いつもどこかに、心の底から応援出来てない私がいたの。睦也が夢を叶えていくのを見守ろうと決めたのにね。睦也、私の分まで頑張って。きっと睦也たちなら、夢を叶えられるから』
汗で湿った携帯をそっと閉じると、グラスの残りを一息で飲み干した。少ししょっぱかったのは、血の味がしたからだ。
汗で湿った携帯をそっと閉じると、グラスの残りを一息で飲み干した。少ししょっぱかったのは、血の味がしたからだ。


