バイト先への行き帰り、オーダーのパスタを作りながら、一人ウィスキーのグラスを傾けながら、睦也の頭の中をいくつものメロディーが駆け抜け、そして過ぎ去っていった。どれも悪くない、だからといってこれだ、という訳でもない。そんな風にして二日経ち、三日経ち、袋小路に入り込みそうになった夜、携帯が静かにメールの受信を知らせた。
 賢介からだろうか? それとも太輝か秀樹か? だが、その誰でもなかった。