「じゃ、どうすればいんだよ」
「それはおれにもわかんねぇよ。一度、二人で話合うしかないだろ」
「話し合うにも、連絡が取れないんだ」
 そう言って携帯を見つめた。結局、昨夜から連絡が来ることはなかった。
「どこにいるかは分からないのか? 仲良かった友達とかさ」
「職場の人にも黙っていなくなったみたいだし、他の友人付き合いは里美ちゃんくらいだ。そんなすぐに分かる場所にはいかないだろ。多分、……実家に帰ったんだと思う」
「でも、両親とは上手くいってないんだろ?」
「それ以上に、おれと一緒にいるのが辛くなったんだよ。優はおれのために夢を諦め、その相手が夢を掴もうとしている。そんな光景を目の前で見ていられるか? 心の底から祝福出来るか?」
「睦也、優ちゃんはそんな子か? そうじゃないことを一番よく知ってるのは、お前だろ」
「でもあいつは、おれを騙してアイドルのオーディションを受けに行くようなやつだぞ」
「お前、本気でそんなこと言ってんのか」
 賢介の表情が豹変した。
 黙り込む睦也に対し、賢介は続けた。