軌跡

　睦也は四人とその感動を、苦労を分かち合いながら、一つのことを気にしていた。このことをどうやって優に伝えればいいのか、を。黙っていてもいずれはバレることだ。隠していたことが分かれば、さらに傷付けることとなるだろう。かといえ、素直に話したとしても、今まで以上に苦しめることも確かだ。
「睦也どうしたんだ、浮かない顔して？」
　太輝と秀樹が肩を抱き合い、何かを話している隙に、賢介は切り出した。
「いや、何でもないよ」
「もしかして、優ちゃんのことか？」
　相変わらずの鋭さに、睦也は言葉を失いかけた。
「そうじゃ、ねぇよ……」
「年末の飲み会のときから気になってたんだよ。上手くいってるみたいだけど、本当は何かあるのか？」
「今度、ちゃんと話すから」
　これ以上、賢介に隠し通すことは出来ない。そして、自分一人で抱え込むにも限界が近付いていた。だが、どこからどこまで話せばいい？　この心に巣食った醜い魔物の姿は、いくら賢介であってもさらすことは出来ない。