「なぁ、一杯飲んでから帰らないか?」
睦也がそう切り出したのは、スタジオを出て、駅に向かい歩いているときだった。
「なんか、今になってようやく実感が湧いてきてさ、このまま帰っても眠れそうにないんだ」
賛成、一斉に三人の返事が返ってきた。どうやら、四人とも同じ心情でいたようだ。
アルコールの力が手伝ってか、それぞれの興奮は、決壊したダムのように次々と放流されていった。これまでの苦労、そして未来への希望。それらを、涙ぐみながら語り合った。
長い下積み生活を思えば、それは当然のことだ。東京に出てきて五年、バイトとバンドを両立させながら、やっとここまで辿り着いた。その中で、夢諦め消えていったバンドをいくつも見てきた。このままではいつか自分たちも……、そんな恐怖と戦いながら、四人で頑張ってきた。ときには小さないざこざもあったが、それすらも絆に変え、乗り越えてきた。そしてやっと、今に至ったのだ。星の数ほどあるバンドの、一握りに至るまでに。
睦也がそう切り出したのは、スタジオを出て、駅に向かい歩いているときだった。
「なんか、今になってようやく実感が湧いてきてさ、このまま帰っても眠れそうにないんだ」
賛成、一斉に三人の返事が返ってきた。どうやら、四人とも同じ心情でいたようだ。
アルコールの力が手伝ってか、それぞれの興奮は、決壊したダムのように次々と放流されていった。これまでの苦労、そして未来への希望。それらを、涙ぐみながら語り合った。
長い下積み生活を思えば、それは当然のことだ。東京に出てきて五年、バイトとバンドを両立させながら、やっとここまで辿り着いた。その中で、夢諦め消えていったバンドをいくつも見てきた。このままではいつか自分たちも……、そんな恐怖と戦いながら、四人で頑張ってきた。ときには小さないざこざもあったが、それすらも絆に変え、乗り越えてきた。そしてやっと、今に至ったのだ。星の数ほどあるバンドの、一握りに至るまでに。


