「……ライバルって、どんなバンドなんですかね」
 そうだ、Locusの前には、まだ見ぬライバルたちが立ちはだかっているのだ。そいつらに勝たない限り、夢は夢のままでしかないのだ。
「秀樹、そういうことはヒロポンさんがいるときに聞けよ」
 太輝は飽きれたように秀樹をなじった。
「そんなこと言われても、今気付いたんだからしょうがないじゃないですか」
 秀樹も食ってかかった。期待と不安、それらがない交ぜになり、どこかイライラしていたのだ。
「秀樹も太輝も止めろ。相手が誰であっても、おれら以上の実力と、人気を兼ね備えていることは確かだ。そんな奴らと勝負するのに、仲間内で争っててどうする? 今は目の前の練習に集中しよう」
 気丈に立ち上がった賢介だが、その手は震えていた。