「じつは、うちの事務所から新規のインディーズレーベルを立ち上げることになったんだ。と言っても、以前から計画されてたんだけどね。僕はそのプロジェクトの中で、新人発掘を任されている。……ここまで言えば、何となく分かったかな?」
 四人は順々に目を合わせたが、誰の頭の上にもクエッションマークが浮かんでいるだけだった。そんな様子を見たヒロポンは、じれったそうに続けた。
「つまり、君たちをそのレーベルからの第一弾デビュー……」
 デビュー、その言葉を聞いた瞬間、全ての音がシャットアウトされた。スタジオから洩れる演奏音も、ロビーに流れる流行りのポップソングも、何もかも、全て。
 ヒロポンが現れてから、いつかこんな日が来るとは思っていた。ある意味覚悟していた。だが、こんなにも早く訪れるとは……。