「明日バイトさえなければな~、朝まで祝杯をあげるのに。まぁ、こんな日々にも終焉が見えてきた訳だ」
「だから太輝は浮かれ過ぎ」
 睦也はそう突っ込みながら、横眼で優の様子を窺った。周りに合わせて笑ってはいるが、それが心からの笑みでないことを、睦也だけが知っていた。優の足取りは、一人重そうだった。自らもぎ取った翼の、古傷が痛むのを堪えるかのように。