「Locusのみなさん、だよね?」
 ファンの人だろうか? それにしてはやけになれなれしい。むしろ失礼な方だ。声のした方を四人が一斉に振り向くと、一人の男が立っていた。
 肩までのロン毛は茶色に染められ、人工的に焼かれた肌は季節違いもはなはだしい。どこかの野球チームのロゴがプリントされた紺のパーカーに、履き古したのではなくこれまた人工的にダメージを与えたジーパン。一見すれば二十代そこそこだが、その顔に浮かんだ細かな皺と、醸し出される雰囲気が、年齢不詳の男にさせていた。
 四人の訝しむ視線に気付いてか、そんなものにはお構いなしにか、その謎の男は続けた。
「そうみたいだね」
 満足そうな笑みを浮かべると、カウンターに向かい、生一つ、と大きな声を上げた。単なる酔っ払いか、そう思って向き直ろうとすると、その男は慌てて続けた。