「あまじょっぱい、感じ? 美味かったぞ」
 バイト先で貰った、確か北海道土産のそれを思い出した。有名なチョコブランドのお菓子だったが、名前までは覚えていない。
「睦也がそんな下手物食いだったとは、知らなかった」
 お前も食えばわかるよ、そう言って太輝の肩を小突いた睦也の後ろでは、優が小さく笑っていた。
「太輝さんなら、何でも美味しいって言って食べそうですけどね」
 年下の秀樹は相変わらず、太輝にはずけずけとものを言う。上下関係のない親分と子分のようだ。その横にはもちろん里美の姿があった。
 賢介だけが、最近仲の怪しい真弓と二人、すこし離れた場所にいた。
 いつものライブ後の、和やかな雰囲気だった。